現代のデジタルカメラのセンサーは優秀です。しかし、時に「写りすぎること」が、写真の情緒(ムード)を削いでしまうことがあります。
私たちが求めているのは、単なる高解像度ではなく、「その場の湿度」や「光の厚み」、そして**「シャッターを切った瞬間の高揚感」**ではないでしょうか。
本プリセット集は、Leica M型(特にM9のCCDセンサーによる濃厚な発色、M10/M11の繊細な階調、そしてSummiluxやNoctiluxといった銘玉の描写特性)を、Lightroom上で徹底的にシミュレートしたコレクションです。
これからの季節、桜の淡いピンク、新緑の力強い緑、春霞のアンニュイな空を、**「ライカ・ルック」**で表現するためにチューニングしました。
- 本プリセットの設計思想
- プリセットラインナップ(全10種)
- 01. M9 CCD Standard (M9の濃厚な春)
- 02. Summilux Open (開放の滲みと立体感)
- 03. M10 Modern Neutral (現代的な透明感)
- 04. Classic Elmarit (エルマリートの硬調)
- 05. Leica Monochrom High-Structure (硬質なモノクロ)
- 06. Nostalgic Summaron (ズマロンの淡い春)
- 07. Noctilux Dream (ノクティルックスの夢)
- 08. Leica Positive Film (リバーサルフィルム風)
- 09. Cherry Blossom Tone (桜専用チューン)
- 10. Rainy Day Blues (Mの雨色)
- プロ・ハイアマチュアのための運用ガイド
本プリセットの設計思想
本コレクションは、初心者向けの「ワンタップで綺麗になるフィルター」とは一線を画します。プロ・ハイアマチュアの方が、RAW現像のベースとして使用することを前提に、以下のパラメーターを緻密に組み込んでいます。
- 黒の締まり(Deep Blacks):ヒストグラムの左端を意図的に沈め、Leica特有の重厚感を再現。
- 色の分離(Color Separation):特に春に混ざりやすい「緑」と「マゼンタ(桜)」のチャンネルをHSLで分離させ、濁りを排除。
- レンズキャラクターの再現:明瞭度とテクスチャ、周辺減光を組み合わせ、Summiluxの滲みやElmaritの硬さを表現。
プリセットラインナップ(全10種)
01. M9 CCD Standard (M9の濃厚な春)
M9搭載のコダック製CCDセンサー特有の、**「こってりと油絵のような色乗り」**を再現したスタンダードプリセットです。
- 特徴: 赤と青の純度を高め、中間調のコントラストを厚く設定。
- 推奨シーン: 順光で捉えた桜並木、青空と花の対比。


02. Summilux Open (開放の滲みと立体感)
開放f1.4付近で撮影した際の**「ピント面の鋭さ」と「アウトフォーカスの柔らかい滲み(ハロ)」**の同居をシミュレートしています。
- 技術仕様: 明瞭度(Clarity)をマイナスに振りつつ、シャープネスのマスク処理を強めることで、芯がありながらも柔らかい描写を実現。周辺減光は強めです。
- 推奨シーン: ポートレート、花の撮影。


03. M10 Modern Neutral (現代的な透明感)
M10/M11系のCMOSセンサーが持つ、広ダイナミックレンジとニュートラルな透明感をベースにしています。
- 特徴: ハイライトからシャドウまでなだらかに繋がる階調性。春の淡い光を白飛びさせず、質感豊かに描きます。
- 推奨シーン: 明暗差のある春の風景、スナップ全般。


04. Classic Elmarit (エルマリートの硬調)
f2.8通しのレンズのような、線が太くならずに**「カリッ」と解像する硬調な描写**です。
- 特徴: コントラスト高め、テクスチャ強調。空の青輝度を下げ、PLフィルターを使用したような深みを出しています。
- 推奨シーン: 建物と桜、新緑のテクスチャ表現。


05. Leica Monochrom High-Structure (硬質なモノクロ)
Leica Monochromにイエロー〜グリーンフィルターを装着した状態を再現。
- 技術仕様: B&Wミキサーにてグリーンの輝度を下げ、レッド/マゼンタを持ち上げることで、コントラストを強調しています。
- 推奨シーン: 都会的な美しさを強調したい春の光景。


06. Nostalgic Summaron (ズマロンの淡い春)
オールドレンズ特有の**「低コントラストだが解像している」**雰囲気。記憶色に近い、少し褪せたような春色です。
- 特徴: ハイライトにわずかにクリーム色を乗せ、彩度を低めに設定。黒レベルを少し浮かせマットな質感に。
- 推奨シーン: 逆光、午後の気だるい光、ノスタルジックなスナップ。


07. Noctilux Dream (ノクティルックスの夢)
f0.95の世界観。極端な周辺減光と中心部の浮き上がり効果で、**「非現実的な夢の中」**のような描写を作ります。
- 技術仕様: 強烈な周辺減光と、マイナスの明瞭度によるグロー効果。
- 推奨シーン: 夜桜、幻想的に見せたい被写体。


08. Leica Positive Film (リバーサルフィルム風)
かつてのM8/M9時代のJPEG設定リバーサルフィルムを意識したメリハリのある設定です。
- 特徴: トーンカーブをS字に設定し、黒を完全に締めることで、色をパキッと発色させます。
- 推奨シーン: 曇天で色が沈みがちな日、インパクトを出したい時。


09. Cherry Blossom Tone (桜専用チューン)
日本人の肌色と桜のピンクが美しく調和するように調整された、ポートレート特化型です。
- 技術仕様: 多くのカメラで黄色く転びがちな春の光に対し、Tint(色かぶり補正)をわずかにマゼンタへシフト。葉の緑が肌色に干渉しないようHSLで分離させています。
- 推奨シーン: 桜ポートレート、和装での撮影。


10. Rainy Day Blues (Mの雨色)
ライカが得意とする**「ウェットな描写」**。雨の日の重厚感を表現します。
- 特徴: 色温度を寒色系に振り、シャドウに深い青(Teal)を乗せています。
- 推奨シーン: 雨天、曇天、ガラス越しの撮影。


プロ・ハイアマチュアのための運用ガイド
このプリセットは「適用して終わり」ではありません。M型ライカを使っているかのような現像体験をしていただくため、以下の微調整を推奨します。
- 露出は「暗め」が適正
- ライカの写真は「シャドウの黒」が命です。多くの国産カメラは適正露出が明るめに出る傾向があるため、プリセット適用後、露光量を -0.3 〜 -0.7 程度下げると、驚くほど「それっぽい」雰囲気になります。
- ホワイトバランス(Tint)の活用
- Leicaの色気は「マゼンタ被り」にあります。ホワイトバランスの「色かぶり補正」を +5 〜 +15 程度マゼンタ側に振ってみてください。
- レンズ補正は「OFF」で
- レンズプロファイル補正による「周辺減光の除去」は、このプリセットの味を損ないます。**周辺減光は「あえて残す(あるいは足す)」**のがM型スタイルの流儀です。
あなたの春の傑作づくりに、この「Mの視点」がお役に立てば幸いです。




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